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株式会社敷島ファーム
栃木県那須郡那須町高久丙1796

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敷島ファームのこだわりⅡ ~農場HACCP/JGAPを形だけの認証にしないということ~

基本的な取組み

2018年12月に白老牧場、2019年2月に那須第1~5牧場で農場HACCPを、2019年5月に白老牧場、2019年6月に那須第1~5牧場でJGAPの認証を取得して以降、数回の維持・更新審査を受けていますが、審査員の皆様からは常に高い評価を頂いています。良い環境を維持・改良し続けることができているのは、対外的なアピール目的などのような形だけの構築ではなく、日常的な運用を前提として構築したことが最大の理由といえます。今回は認証取得のきっかけや導入後についてを紹介します。

〇認証取得のきっかけ

技術やルールは人から人へと教え引き継がれていきます。実技・口頭・マニュアルなど様々な方法で伝達されますが、教え方や解釈、状況の変化により変わっていきます。

状況に則し変えていくことはメリットもありますが、前後を考慮しない局所的な対応による不具合や、ローカルルールの乱立など、組織運営にとっては大きなデメリットといえます。もちろん、食の安心・安全や衛生管理の徹底においてもリスクになります。

敷島ファームでは、食の安心・安全をはじめ、あらゆるリスクへの対策強化として、業務プロセスの見直しや統合、作業の平準化やマニュアルの統合化など内部統制に着手しました。

当初は内部統制のツールとして、農業の国際的な基準とみなされているグローバルGAPの導入を検討しました。

※GAPはGood(適正)なAgricultural(農業)のPractice(実践)の略。GGAPは120か国以上で導入されているGAP認証。

ですが、飼料を完全に自給化するか、GGAP認証業者から飼料の供給を受ける必要がある等、GGAPが浸透していない日本において、畜産農家が取得するにはまだ困難な状況と判明しました。

そのため、畜産物の安全性確保の手法として国内で実績のある「農場HACCP」と、日本版の畜産GAP「JGAP家畜・畜産物」の導入を進めることになりました。

〇形だけの認証取得にしないということ

2017年9月に農場HACCPの構築の取り組みがスタートしました。食の安心・安全への担保としての構築が目的の場合は、食に直接関係する肥育牧場のみ構築という選択肢がありますが、内部統制が導入目的のため、繁殖・肥育の全工程を構築範囲としました。

構築にあたっては指導員の方を中心に、管理獣医師や家畜保健衛生所の方に構築会議や牧場視察、内部審査等に参加いただき、さまざまな視点からご指導やご助言をいただきました。

6牧場同時のため、構築には2年程度見込まれていましたが、的確な指導と飼育・衛生管理体制がしっかりと構築されていたことにより、白老牧場は2018年12月、那須第1~5牧場は2019年2月と、当初の予測より短期間で農場HACCPの認証を取得しました。

JGAPは農場HACCP認証後に差分で構築を進め、白老牧場は2019年5月、那須第1~5牧場は2019年6月に認証を取得しました。

フローチャートや仕様書の作成など、構築には多くの書類作業が必要となりますので、農場HACCPやJGAPを企業農場が導入する場合、構築は事務スタッフが・・・というケースが一般的かもしれませんが、敷島ファームでは現場作業の実務スタッフが中心となり構築しました。

実務に携わるスタッフが、実務目線で全体の流れを一連のものとして俯瞰し、しっかりと理解した上で、あらゆる作業工程を漏れなく再構築することにより、形だけの構築・認証ではなく、しっかりと日常的な運用に取り入れ、定着させていけるものとしました。

〇認証取得による効果

「教育訓練を通して正しいルールの再確認など従業員の理解度が高まった」

「作業マニュアルに従ってモニタリングを実施した結果、未然に危害発生を防ぐことができた」

「作業手順の明文化やフローチャート化により、工程管理や検証が容易になった」

「情報共有や問題対応・原因究明・再発防止の流れがスムーズになった」・・・etc

など多くの成果があげられています。

農場HACCP/JGAPの認証取得は様々な場面で良い影響をあたえています。例えば、日常作業・安全衛生・農場HACCP・JGAP・機械・法令など様々なテーマについての勉強会を、実務従業員が主体となり、定期的(月1~2回)に実施するようになりました。

定期的に繰り返し実施することで、モチベーション維持や知識・意識の浸透につなげ、問題が発生しても慌てずに対応できる体制を整えています。講師を家畜保健所や飼料・薬品メーカーから招くこともあります。勉強会の後はテストやレポートで理解度を確認し、理解度が低い場合は、わかるまで丁寧に教えています。

なお、勉強会や業務指導では、農場HACCP認証に必要な作業手順書やフローチャートをベースに、内容を大幅に充実させ、磨き上げた当社独自の”作業マニュアル”を利用します。

認証取得で要求される作業手順書やフローチャートは、認証取得が目的であれば最低限でよいのですが、実務に根付かせていくためには、要求される以上に細分化し、内容を充足させ、磨き上げていくことが最も大切であると考え、図や実際の写真などを利用してわかりやすくカスタマイズしています。


これからの農畜産業には衛生管理だけではなく、SDGsやアニマルウェルフェアなど、持続性や家畜・人・環境への配慮が今まで以上に求められています。

当社では2022年6月にバイオマス燃料や高い炭素固定能力で知られる巨大ススキ(ジャイアントミスカンサス・エリアンサス)を飼料・敷料化や荒廃・耕作放棄・遊休地を炭素固定の為に利活用する実証試験を北海道白老町にある自社試験圃場で開始しました。

また、ふん尿から発生するメタンガスを大気中へ放出せず、発電に利用することにより、温室効果ガスの排出削減や電力確保、発酵残渣の再資源化を目指すバイオガス事業も進めています。

そして、これらの新たな取り組みにおいても、安全・衛生管理、危害要因分析、マニュアル化、PDCAサイクルなど農場HACCP/JGAPの考え方が生かされていきます。

敷島ファームは農場HACCP/JGAPを通して培ったノウハウを生かし、牛・人・環境に優しい農業を推進していきます。