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株式会社敷島ファーム
栃木県那須郡那須町高久丙1796

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先進技術とこれからの畜産Ⅷ ~ゲノミック評価による牛群改良の成果について(結果報告)~

ゲノミック評価

2017年よりゲノミック評価による牛群改良を行ってきた成果報告になります。いままでの足跡は活動報告の記事をご覧ください。


資料aは敷島ファームの2025年生まれの雌牛について、全国の雌牛評価値と比較した枝肉6形質の割合になります。

資料a

H~Dの値は日本全国の雌牛を対象に各形質をランク分けしたもので、H・A・Bが平均以上、C・Dが平均以下になります。H(上位10%)が最も優れている評価となります。

産子の75~80%が全国平均以上の遺伝的能力を持って生まれていることを示しています。環境要因などがありますので、能力を活かせるか活かせないかは未知数ですが、優秀な牛となる能力を秘めた牛たちが沢山生まれているといえます。

資料bは生年別の評価値の推移になります。

資料b

ゲノミック評価による牛群改良が順調に進んでいることがわかります。特にBMS(サシ)やロース芯面積、歩留の上昇は顕著といえます。一方、皮下脂肪厚は緩やかな上昇となっています。

黒毛和牛といえば霜降り=サシ(BMS:ビーフマーブリングスコア)と言われるように、肉質を評価する重要な項目になります。

ロース芯面積や歩留はお肉屋さんにとって重要な項目になります。特に歩留は、枝肉からどれだけ製品化できるかの目安として重視される項目になります。歩留が悪い=ロスが多い枝肉は敬遠されてしまいます。

黒毛和牛は長年、サシ(BMS:ビーフマーブリングスコア)が重視されてきましたが、近年は嗜好も多様化しており、以前よりはサシがすべてという風潮はかわりつつあります。

ゲノミック評価による牛群改良は、従来型の改良と比べはるかに早く、確実に成果をあげることが出来ることがわかりました。

資料Cはゲノミック評価による牛群改良開始時に飼育されていた母牛と、現在飼育中の母牛の評価結果の比較になります。

資料c

ゲノミック評価による牛群改良の【牛群】とは【母牛群】を示しています。この取り組みは、優秀な子牛を生産するための優秀な母牛群を揃えることがメインになります。

つまり、冒頭の生産子牛の能力改良成果は、母牛群改良の成果による成果となりますので、資料cに示された存在母牛の能力アップがこの【ゲノミック評価による牛群改良】における本来の成果となります。

かつて母牛の改良は極めて難しいとされてきました。優秀な子牛を生産するかどうか?の評価は2パターンあります。1つ目は両親の能力の平均値からの推測(推定育種価)。もう一つは自らが生産した子牛の肥育成績での評価になります。

前者は容易に評価可能ですが、兄弟姉妹すべて同じ評価になる欠点があります。ヒトを例にすると、一卵性双生児であれば体型や性格が似る可能性がありますが、兄弟姉妹が皆同じということはありえません。つまり、かなりアバウトな評価方法といえます。

後者は自らの産子成績(後代成績)から求めますので、個体ごとに評価をすることが可能となりますが、複数の産子成績が必要となります。すべての産子が生存し肥育出荷されるとは限りませんので、最低でも2~3産、恐らく4~5産は必要となります。

さらに、出荷までには生後30か月ほど必要となりますので、繁殖になってから6~7年以上経過しないと正確な評価ができません。そのため、個体ごとの評価がわかる頃には高齢・高産になっており、後代を残すことが難しくなります。

なお、後代成績は生育一貫生産(生産子牛を肥育し出荷までおこなう)であれば容易に得ることができますが、子牛生産専門牧場の場合は、販売した子牛の出荷成績を得ることは難しいといえます。

以上より、母牛の改良は難しいとされてきました。そのため、一頭一頭しっかり見ながら、数字ではなく長年の経験や勘から優劣を見極めることが可能な優秀な農家と、多くの従業員が従事し多頭飼育する大規模農家では、牛群能力に大きな差が出てしまう結果となっていました。

ゲノミック評価による牛群改良は長年の経験や勘ではなく、個々のゲノム情報をもとに数的に優劣判断する方法になります。経験や勘を否定するものではありませんが、大規模農家にとってシステマティックに取捨選択できるということは大きな一歩となります。

そして、保有する母牛群の70%以上が全国平均以上となった今、ゲノミック評価による牛群改良は確かに有効な手段といえます。


ゲノミック評価を利用することにより、後代を残す牛、更新する牛、交配の選択などについて、個体ごとに、早期に(生まれてすぐにでも)数値化して判断することが可能となりました。

従来の育種価評価に比べ、早期に、短期間に、高い精度で成果をあげることが可能となりました。

敷島ファームが家畜改良事業団との共同研究から始まったゲノミック評価による牛群改良は大きな成果をあげることができました。

これからもゲノミック評価の利活用への取り組みにご期待ください。